出汁の役割とは

和食を始め様々な料理に日常的に使う出汁ですが、本来どのような役割を果たすものでしょうか。

出汁のうまみの発見

今日出汁のうまみと呼ばれているものは実は19世紀以前は、科学的に立証されていませんでした。舌にはうま味を感じるはたらきがあり、うま味を示す物質があることが発見されたのはごく最近のことなのです。うま味物質は、現在の東京大学に当たる東京帝国大学教授だった池田菊苗氏によって、1908年にだし昆布の中から発見されました。はじめに発見されたうま味物質は昆布含まれるグルタミン酸でした。うま味となるだし昆布やかつお節を使用した出汁は、日本料理の基本となる伝統的調理手順のひとつで、近年ではこの出汁やうまみの概念がヨーロッパをはじめ世界中で見直され評価されています。日本では古くから日常的に使われていた出汁ですが、海外では目新しいものとしてとらえられたようです。1913年にはかつお節から抽出したイノシン酸がうまみ成分であることを発見し、1957年には、しいたけから抽出したグアニル酸が新たなうま味成分であることが発見されました。

出汁と調味料

いずれも料理には欠かせないものですが、出汁と調味料は異なります。出汁だけでは味気ない料理になり、調味料だけでも単調なものになってしまいます。しかしいずれかが少しずつでも存在すれば味に奥深さを生むことができます。

調味料が少なくてもおいしさを感じる

健康のためには控えたいのが塩分です。健康を維持するためだけでなく塩分を控えなくてはならない病気もたくさんあります。たとえば高血圧になってしまった場合、血圧を下げる食事には減塩が欠かせません。しかし単に料理から塩を減らしただけでは薄味でおいしくないと感じる人も多いようです。そこで登場するのが出汁のうまみです。しっかりと出汁を取って作った料理は味に深みが出ることもあり、塩分が少なくてもおいしく感じます。ただし、昆布など海から取れた素材には海水の影響で塩分が多く含まれているため、出汁を取った後調味料を加える前に一度味見をすることが大切です。

料理のベースとなる出汁

たとえば日本の料理でいえばそばやうどん、さらには鍋料理。これらには必ずと言っていいほど出汁が使われています。出汁を使うことで全体の味に深みが増し、料理全体をまとめてくれる働きがあります。仮にこれらの料理に出汁を使わなかったとしましょう。出汁の香りや旨味がなくなった料理は味気なく、深みもありません。ここの食材が独立し、まとまりがない料理になってしまいます。出汁は料理にこのような大きな影響を与えているのです。

食欲をそそる香り

外から家に帰ってきたとき、キッチンから漂う香りに食欲がそそられた記憶誰にでもあると思います。朝、味噌汁の香りで目が覚める、なんてことも日本の昔ながらの風景です。これは出汁が持つ独特の香りによるものです。この出汁の香りはかつお節や昆布、煮干しなど出汁の素材によってそれぞれです。香り成分は揮発性のため、出汁を沸騰させすぎると香りが飛んでしまうため注意が必要です。食欲がない時にはしっかりとだしを利かせた料理を作ることで嗅覚を刺激してみるのも一つの方法です。