出汁に欠かせない素材の味を引き立てる昆布

昆布はミネラルが豊富で、どんな素材とも相性のよい出汁の万能選手です。すっきりと上品な出汁になるのが特徴です。

昆布の歴史

昆布は別名を「エビスメ」と言います。エビスは蝦夷地(北海道)、メは幅広の海藻を指し、蝦夷地産の海藻という意味になります。

平安時代初期に編纂された「続日本紀」には、昆布が蝦夷から朝廷に献上されたとの記述があります。その後、昆布は税として徴収され、一部の上流階級の人々のみが口にできる高級品となっていきます。

鎌倉時代には禅宗の寺院で精進料理が作られるようになり、昆布が出汁として使われるようになります。

江戸時代に入ると、北海道の松前と本州を結ぶ北前船により、北海道の昆布が京都や大阪、更には薩摩や琉球、中国にまで運ばれるようになりました。このように昆布が結んだ航路は「昆布ロード」と呼ばれ、昆布は次第に日本の食文化に大きく関わっていくことになります。

昆布ができるまで

昆布には天然のもののほかに、養殖栽培をしたものと促成栽培をしたものがあります。天然と養殖の場合、生長には約二年を要します。昆布漁が解禁される7月中旬から9月の初めまでに採取される昆布は「走」(はしり)「夏採り」(なつどり)と呼ばれ、最も品質が良いとされています。

採取した昆布は汚れを落として天日干しにするか、機械で乾燥させます。

乾燥した昆布は加工場において手間ひまをかけて整形されます。

昆布の種類

代表的なものは「真昆布」、「利尻昆布」、「羅臼昆布」です。最高級品とされる真昆布は出汁がよく出て、香りも最高です。利尻昆布は清く澄んだ出汁が取れ、上品な甘みが特徴です。反対に羅臼昆布は出汁が濁りますが、濃厚な味わいの出汁が取れます。

昆布は他にも、柔らかくて味が良い「日高昆布」、葉が細めでとろろ昆布や佃煮などに使われる「細目昆布」、長さが6メートル以上あり、昆布巻きやおでん昆布などに使われる「長昆布」、幅が広くて肉厚な「厚葉昆布」などがあります。

昆布の選び方

昆布は緑褐色でツヤがあり、肉厚で幅の広いもの、よく乾燥しているものを選びましょう。

昆布の表面の白い粉は、マンニットという炭水化物の一種で上品な甘みがあります。これはグルタミン酸と同様に昆布出汁を美味しくする大切な成分になりますので、拭き取らないで使いましょう。昆布が汚れている時は、固く絞ったふきんでサッと拭く程度にしておきましょう。

昆布出汁を使った潮汁のレシピ

昆布出汁は他の出汁と比べると薄くてやわらかな味わいになりますが、その分、素材の味を引き立てる力があります。ハマグリやアサリなどの貝類で汁物を作る時、貝そのもののうま味を堪能したい時は鰹の香りが邪魔になります。そこに昆布出汁を使うと、貝のうま味が引き立ち、尚且つ昆布がそれを補い、上品で味わい深い汁になります。

【材料】二人分

昆布出汁・・・500cc

砂出ししたハマグリ・・・4個

日本酒・・・30cc

塩・・・少々

木の芽・・・少々

【作り方】

①鍋に昆布出汁を入れ、ハマグリと酒を加えて火にかけます。

②アクを取り除き、ハマグリの口が開いたものから取り出して椀に盛ります。

③汁は塩で味を整え、②の椀に盛って、木の芽を添えて出来上がりです。